アメリカ留学において、アメリカでの生活に慣れてきた頃にシェアハウスに切り替える留学生は多いです。中にはあらかじめ物件を決めておいて、渡米初日からシェアハウスに住み始める猛者もいます。
ここではアメリカ留学でシェアハウスを利用する上で知っておきたい基礎知識やメリット・デメリット、そしてシェアハウス生活を成功させるための秘訣を解説します。
目次
シェアハウスとは?基本用語を解説
ひとくちにシェアハウスと言っても、さまざまな種類に分かれています。基本的にはリビングやお風呂・トイレ、台所は一緒に使います。個室というか、個別スペースとなるのがベッドルームです。2人で同居する形態がルームシェアであり、複数の2段ベッドを入れた部屋がドミトリーです。比較的家賃はリーズナブルであるため、賃貸料を抑えたい方はこちらの2タイプを利用しています。
部屋内にお風呂・トイレが個別にあるのがマスタールームで。マスタールームは一人で過ごせる空間が多い分、他よりも家賃は高めです。
シカゴ郊外に多いのがベースメントであり、半地下もしくは地下の部屋となっています。窓がなくて暗いものの、家賃を抑えることができます。
直訳すれば書斎という意味になる、小部屋のデンも費用が抑えられる種類の1つです。
他にも、日本でも存在するため馴染みのあるロフトアパートメントを利用するケースもあります。過去に工場・倉庫として使われていた建物を、集合住宅の形式へと改造した建物です。大都市の近郊では、再開発の対象エリアとなっていることもありロフト構造が多く存在します。
シェアハウスと他の滞在方法の違い・事情
数人で共用するシェアハウスの他に、一人暮らしを選択する留学生もいます。アメリカ留学ではポピュラーな滞在方法であり、中でもアパート住まいの人は多いです。予算に見合った部屋の広さや立地、築年数の物件を選べるのが特徴です。
一人暮らしの場合はStudio(ワンルーム)を選ぶこととなり、お風呂・トイレやキッチンは個人の空間となります。ただしシェアハウスとは異なり、家賃の折半ができません。そのため条件の良い物件であれば、かなり高額になってしまいます。加えて物件を探したり、契約したりといった作業・手続きは全て自分で行う必要があります。
留学の際によく用いられる滞在手段として挙げられるのが、学生寮です。学校の敷地内もしくは近隣エリアとなるため、通学の利便性が高く治安も安定しています。移り住んで間もない頃でも、学生寮のミーティングやイベントに参加できるため、友達を作りやすいのもメリットです。
一方でアメリカ留学の懸念点としては、アメリカの学生寮が高額であることが挙げられます。高級アパートと住むのと、変わらないぐらいの費用が必要なのが実情です。さらに高額であるにもかかわらず、トイレやお風呂・キッチンは共用が多いことも難点です。
シェアハウスの探し方
アメリカ留学の場合、日本からシェアハウスを探すなら留学エージェントの紹介、もしくは専門のウェブサイトを利用する方法があります。渡米してからの場合は、現地で友人を作ってから一緒に計画を立てるということも可能です。加えてキャンパス内の掲示板に貼られている、ルームメイト募集のチラシをチェックするのも1つの手です。
現地の人ではなく、日本人とシェアする場合はウェブサイトを中心に募集する形になります。渡米後であれば、キャンパスやカフェの掲示板を利用して日本人向けに募集するという方法もあります。掲示板の利用方法については、それぞれの建物でルールがあるため事務員に確認するのが鉄則です。
シェアハウスを利用する上で注意したいのは、契約の途中での解約です。一般的な契約期間は半年や1年などが多いですが、途中で解約すると違約金が発生したり敷金(デポジット)が返却されなかったりするため、注意しましょう。
日本と同様に契約の際には敷金が必要であり、およそ家賃1ヶ月分が相場となります。問題がなければ、退去時に返ってくるのが一般的です。ただしアメリカでは返ってこなかったり、返金が翌月へとずれこんだりと何かとトラブルになりやすいためアメリカ留学ではこちらも注意しておかなければなりません。
シェアハウスの家賃相場について
留学生同士のシェアハウスでは、通常2〜5人ほどで利用することが多いです。家賃と光熱費を人数で折半するのが一般的であり、居住する人数が多いほどかかる費用は少なくなります。
家賃の相場に関しては、日本と同じように都市の規模が大きくなるほど高額になる傾向にあります。世界的な規模を誇り、国内においても産業・経済の中心地であるニューヨークでは特に割高です。少なく見積もっても、1ヶ月あたり700ドル(日本円で77,000〜79,000円)程度は見ておいた方が良いでしょう。平均で見れば1,200〜1,500ドル/月ほどであり、約13〜17万円/月です。
場所によっては、20万円を超えることもあるため注意してください。加えて1ヶ月の料金ではなく、1泊ごとの部屋もあるため独自に部屋を探す際には特に気をつけることをおすすめします。
シェアハウス費には、家賃および生活費のほとんどが含まれていることが多いです。また共用スペースについては、物件ごとに異なります。アパート側が定期的に掃除する場合もあれば、入居者が当番制に従って掃除する必要がある場合もあります。なおホームステイとは異なり費用に食費が含まれないため、自身で食材を調達して調理することが必須です。
メリット①住居のエリアや値段を決められる
アメリカ留学の際にシェアハウスを利用する上でのメリットが、住居のエリアを決められる点です。住みたい物件を探す際、駅や学校から近いエリアを選ぶことができます。利便性の高いエリアに関しては人気があり、同時に家賃も高くなりがちです。ただし交通費や買い物に行く手間が省ける分、トータルの時間や費用が節約できることも少なくないです
一般的なホームステイよりも安く住むことができ、節約が可能な点を活かして住む部屋のランクや条件をアップさせることも可能です。
また食費が費用に含まれていない点を上手く活かして、節約することもできます。食べたい食べ物を選んで自炊したり、食費を安く抑えて生活費に充てたりといったように、工夫して暮らす方法を選べるのもシェアハウスの利点です。上手く自分が求める条件と見合った物件を探しつつ、折り合いをつけながら探すことがポイントとなります。
メリット②英語で話せる環境が整う
シェアハウスの利点に、英語に囲まれた環境が整えられる点が挙げられます。日本人専用の物件を除いては、多国籍な環境となることが多いです。もともとアメリカは多民族国家であり、多様な人種が行き交う土地です。共通言語に英語が使用されるケースが多く、それに伴いシェアハウス内では英語で話す機会が増えます。
語学力を向上させるチャンスであり、積極的に話しかけて生きた言語を身につけましょう。プライベートな空間もあるため、英語を話したくない気分の時は自室で過ごせば良いです。メリハリのきいた生活を送り、効率良く学ぶことができるのがメリットです。
また一般家庭に住み込むホームステイに比べて、ハウスルールが緩い点もメリットとして挙げられます。門限やシャワーの使い方など、細かく制限されることも少なくありません。それに比べてシェアハウスはルールが緩いことが多く、個人の生活リズムに合わせて自由に過ごせるところが多いです。
日本人専用の物件ではルールが細かく設定されていることが多いですが、きちんと規律が整っている分全員が心地よく利用しやすいと人気があることも事実です。
デメリット①日本人とシェアすることも
せっかくアメリカ留学に行っても、まわりが日本人ばかりであるケースも少なくありません。エリアによっては留学生が固まる可能性があり、シェアした相手が日本人であることも考えられます。同じ文化圏で育ってきた分、認識の違いも少なく快適に過ごせます。共用スペースをきれいに使ったり、無闇に騒がないよう自制したりといったように、規律がなくてもお互いのためを思って行動する人が多く快適です。
しかしそれが仇となって、日本人ばかりの環境だと英語を喋らなくなってしまいます。学校でクラスメイトと喋るだけでは不十分で、日常生活に使用する英語も必要です。英語の語学力が伸ばせるよう、できるだけ外国籍の人と一緒に過ごせる環境を探すようにしましょう。
なおアメリカ留学に限らず、日本でルームシェアをしたり一人暮らしをしたりする場合でも同じことが言えますが、家事は自分でこなさなければなりません。疲れて帰ってきても自分で食事を用意しなければならないし、洗濯や掃除もこなす必要があります。
見慣れぬ環境でスーパーへと出かけて食材を探し、レジの人と慣れない言語でやり取りをすると、日本との違いを実感することでしょう。一方で、異文化の中で日常生活を送れた経験は将来的に財産となります。
デメリット②人と接する上での摩擦
こちらも日本と海外では共通していますが、シェアハウスという性質上ストレスが溜まりやすくなります。他人と一緒に過ごしたり、共用スペースを使ったりするため神経質な人は特に気になることでしょう。
周囲の住民が騒がしかったり、時間帯を問わず大きな生活音を出したり、水まわりの使い方が汚いといった意見は数多く見かけます。特にアメリカではパーティーが日常的に行われていて、集団で騒ぐことに抵抗がある方は一人暮らしを視野に入れた方が良いかもしれません。ただシェアハウスでの生活を経験することで、他の文化に触れて他人に寛容になったという方も少なくないです。
当番制であるにもかかわらず、ルールを守らない人も存在します。共用スペースの掃除・管理は、大抵の住居であれば入居者が交代で当番制で行うのが一般的です。衛生的に過ごす習慣が多く、ルールもきちんと守る国民性である日本人は、世界的にみても稀な人種と言われています。
当番制と言われているのに、次の担当者が掃除するから大丈夫と考えて一週間なにもしない人も存在します。日本人だけが掃除をして、まわりの人はお礼を言わないという可能性も少なくありません。
シェアハウス成功のコツ①防犯と部屋確認
シェアハウスで心地よく過ごすにあたって、守るべきルールは防犯意識・対策です。個人の空間である、プライベートな部屋の扉には鍵がついていることも多いです。セキュリティ対策が万全である家も多く、ハウスメイトを信用しすぎないことが大切になります。
たとえ自分の部屋の中であっても、貴重品を鍵付きのセキュリティボックスに入れるようにしましょう。万が一他人が入ってきた際に、盗難に遭わないための自衛策です。ドミトリータイプの場合は特にプライベートな空間がほとんど存在しないため、貴重品が狙われやすいです。盗難ではなく紛失であった場合に、まわりを疑わなくても済むようにきちんと管理することが大事になります。
契約する前に、部屋を細かくチェックすることも重要です。セキュリティ面はもちろん、生活面でのルールや住民に関しても知っておくべきです。内見の際にデポジットの件や掃除の当番、冷暖房設備の有無やインターネット通信など、住む上で不便に感じるものはないかどうかオーナーに細かく質問しておきましょう。
部屋探しの期間に余裕がある場合は特に、他の物件と比較しつつ選ぶことが大事です。
シェアハウス成功のコツ②人に寛容になる
共同生活を成功させる上で、人に対して寛容になることは欠かせません。同じ日本人同士でもぶつかることがあるのに、文化や考え方が違う人が集まって生活するのであれば、なおのこと人に対しての考え方を柔軟にする必要があります。
日本では常識から外れた行動であっても、海外では普通であることも珍しくありません。反対に日本人が普通だと認識している行動が、アメリカでは非難されるケースもあります。日本で生活していた時に外国人の友達がたくさん居ても、一緒に生活してみて初めて認識する面も多いです。
自分の常識にとらわれ過ぎず、相手の文化や考え方を一度受け入れた上で吟味する習慣をつけましょう。育った環境の違いによって生じる考え方の違いや、認識の誤差を楽しむことが大切です。
他人に多くを求め過ぎないこと、理想を押しつけすぎないことも大事になります。自分がしたいことや暮らしの理想を持つのは良いことですが、相手に求め過ぎるのは危険です。
相手に遠慮せず自身の意見をはっきり示し、折り合いをつけながら暮らして行く経験は今後の人生で大いに役立ちます。お互いに認めあった上で、交渉したり意見を交わしたりすることが重要です。
まとめ
滞在方法としてアパート住まいが選ばれることが多いアメリカ留学において、家賃を抑えられるシェアハウスはよりポピュラーな滞在手段です。ホームステイなどと比べても節約できる上に、多国籍な環境となりやすく英語の語学力を向上させる機会が増やせます。メリット・デメリットと自身の性質を照らし合わせながら、マッチする方法を選びましょう。